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Blog of the T-shirt exhibition which a creator makes. Team『POW-WOW』project.
  クリエーターの手によるTシャツ展『POW-WOW』のブログ / 2008.7.10〜16 吉祥寺リベストギャラリー創        
   
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こにゃにゃちは。森優子の「GOGO!セルビアだより」の時間です。

前回の長ったらしい「ヨーロッパ人はこんなことでもりあがっていたのだ」を読んでくださったあなたのために、今回は「さて、ユーロビジョンにはいったいどんな歌手が出場するのか」を解説してさしあげましょう。

ユーロビジョンで歌われるのは、いわゆる「歌謡曲」です。

だいたい下記のようなパターンに分類されます。

①色物インパクトで勝負系



↑今年のラトビア代表。海賊コスチュームで勝負。
客席から「ディズニーランドへ帰れ!」と罵倒されながらも
「ヘラハイハイホ♪ ヘラハイハイホ♪」
コスプレのインパクトで生き残ろうとする出場者は毎年必ずいる。

②ヘビメタ系



エレクトリック楽器+大量の火薬をどっかんどっかんステージで爆破しまくりのパターン。↑今年のフィンランドの出場者は、ちょっと地味だった。2006年(マリヤちゃんの前年)はフィンランドのコスプレ+ヘビメタバンドが優勝しました。

③80年代系



ホイットニー・ヒューストンが歌った映画「ボディーガード」のサントラ系。
この古くささにホッと安心できるのもユーロビジョンのよさ。
↑今年のスウェーデン代表。以前にいちど優勝したことがある。
「彼女ってぜったいに整形手術したよね」と客席で話題でございました。

④顔がなんだ 実力で勝負ヨ!



↑ポルトガルの歌手さん。噛みつきそうな笑顔が大迫力でした。
愛しのマリヤちゃんもこれ系に属すると言われているが、私は激しく否定。だってマリヤちゃんはかわゆいんだも~~~~ん。

⑤アイドル系



今年のギリシャ代表。「あんた、将来ちゃんと幸せな結婚できるんかいな?」といぶかしんでしまうほどのかわいさ。ちなみに三位にランクイン。
若くてかわいい女の子ってのはよろしいなあ~~~目の正月。

⑥本気で勝負系

「ユーロビジョン★死ぬ気で戦う本気★御三家」は、トルコ・ロシア・ウクライナ。メジャーリーグ並みの分析と戦略で参戦。



↑んで、これが今年のロシア代表。毎年、戦争並みの本気度でかかってきます。

ロシアの本気度はおそろしい。写真をよーくご覧ください。

日本でもおなじみ、フィギュアスケートの貴公子・プルシェンコちゃんを出してきました。ステージの上でびゅわんびゅわん滑らせました。

さらに、新進の若手バイオリニストに、数億円はくだらないと言われている200年前の名器を弾かせました。

そして歌ったのは、ロシアでは超アイドルのディマ・ビラン君(真ん中の白い服)。麻薬使用疑惑やら、名誉棄損裁判やら、さまざまな黒いスキャンダルをひっさげての参戦。
一昨年優勝をのがした彼にとっては二回目のリベンジ出場なので、本人のやる気も半端ではありません。

ディマくんファンのセルビア人の女の子

ロシア語に異常なまでにプライドをもってるロシア人ですが、ユーロビジョンでは英語で歌うんです。
そういう点にも、「だっていろんな国の若人から点数もらいたいんだもん 勝ちたいんだもん」という気持ちがよくあらわれておりますね。

「嵐のなかでもぼくの心は山のように動かないさ~♪」
というわっかりやすい英語の歌詞を照れることなく歌いあげたディマ君。

で、ついに今年は優勝しちゃったんですよね~。

マスコミのあいだではディマ君はチョー評判悪かったですけどね~。
会場でのブーイングもすごかったけどね~。
よかったね~ディマ君。
優勝して前年勝者マリヤちゃんに祝ってもらうの図 マリヤちゃんったら校長先生みたいだゾ~


↓おひまなら見てよね。今年のロシア国内での予選大会で、ディマ君が優勝し、ユーロビジョンへの再出場がきまった瞬間の映像です。
感激のあまり震えて立てないディマ君。
プレゼンテーターは、セルビアからモスクワへ出張した、我が愛しのマリヤちゃん。
ディマ君に抱きつかれて離してもらえずじたばたするマリヤちゃんが見もの、わたくしにとってはお宝映像でございます↓


↑あのお、どなたかこれを、テレビの画面みたいにはりつけてもらえませんか~~~? (方法がわからん・・・)
※(注)上記、Artmic8neoが対応致しました。勝手に日記をいじってごめんなさい。
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旅を愛するイラストレーター森優子の「GOGO!セルビアだより」の時間です。

長文ですので、覚悟してどうぞ。

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愛しのセルビア人歌手・マリヤちゃんを語るとき、みなさまに知っておいてもらわねばならないのが「ユーロビジョン・ソングコンテスト」という祭りの存在でございます。



ユーロビジョンとは===10億人が熱く燃える、ヨーロッパの国対抗歌合戦。

各国の代表歌手が歌い→テレビ視聴者の電話投票によって優勝者が決まる。ぬわんと、すでに50年の歴史があります。日本ではほとんど知られてないけどね。

愛しのマリヤちゃんはこのコンテストで昨年優勝したのでした。

かつてABBAを輩出し、フリオ・イグレシアス、セリーヌ・ディオンなども出場経験あり。おなじみの「ジ、ジ、ジンギスカーン♪」っていう歌も、じつはユーロビジョン発の世界ヒットなんですよー。

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ABBAを世界的メジャーにしたことがユーロビジョンの自慢


前年優勝者だからこんな看板も作られたのよん。なりきりマリヤちゃん

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そもそも私がユーロビジョンを知ったのはかれこれ3年前、スイス在住の日本人(宇都宮出身)の社会学者Y君が、「これほど現在のヨーロッパの民族感情が顕著にあらわれている教材はありません」と、DVDを見せてくれたのが始まりでございやした。

ヨーロッパについての知識も興味も特になかった私でしたが、理屈抜きにユーロビジョンは面白かった。

「おおっ、これがギリシャの男性アイドルか~~~」
とか
「ウクライナは本気やな、すんごい美人を出してきた」
とか、
ワイワイいいながら、Y君と家族ぐるみでDVDを毎年楽しんで見てたのです。

それが、2007年の大会のDVDで、マリヤちゃんの歌声に完全につかまっちゃったんですねー(今思えばのどかに楽しんでいた頃が懐かしい)。

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海外インターネット通販で買ったチケット8枚つづり(約4万円+送料)。見たいのは予選と本戦だけなのに、海外からだと公開リハーサルとかいろんなものが抱き合わせのチケットしか買えない。
でもでも、マリヤちゃんのためならえーんやこーら(ユーロビジョン本部の思うつぼ)
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もうちょっと解説を続けましょう。

欧州放送連盟(EBU)というものに加入している国(55か国)が、ユーロビジョンの参加権を持ちます。

たとえば今年の場合、参加国数は43か国。「ヨーロッパってそんなにたくさん国あったっけ?」と思うでしょ?

はい。われわれ日本人にとってのヨーロッパって、いわゆるEUに加盟しているようなイギリスとかフランスとかベルギーとか、どちらかというと西側寄りの「西欧諸国」だと思うんですが、ユーロビジョン参加権をもつ国にはトルコとかロシアなどの中欧方面や、モロッコやエジプトといった北アフリカも含まれているのです。

欧州放送連盟への加入が条件ってことは、つまりおたがいにテレビ放送の電波を飛ばしあう関係ってこと。
すなわち、一般庶民の日常的文化(歌番組やニュースやお笑い番組)が多かれ少なかれリンクしてるわけですわ。

ユーロビジョンは欧州系移民の多いオーストラリアなどでも放映されまして、視聴者はおよそ10億人。
年一回、10億人が同じテレビ番組を見て熱く燃えてるなんて知らんかったよねー。
(なお現在では日本でも、オンタイムで生中継をインターネット上で見ることができます)

一般家庭でユーロビジョン放送を楽しんでるの図

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ひとつの国あたり一組(一人)の歌手が出場。予選・決勝はテレビで生放送され、視聴者の電話投票によって結果が決まります。

ただし、自分の国の歌手には投票できない。

そう、「自分の国以外の歌手にしか投票しちゃダメ」・・・・・この決まりが
じつはミソでして。

もちろん歌の良し悪しが重要とはいえ、ひもとかれた投票結果にモロに現れてしまうのが、殺戮と侵略が繰り返されたヨーロッパの「血みどろの民族感情」だったりするわけであります。

たとえば。かつてトルコに侵略されたセルビアは、トルコと仲が悪い。

昨年マリヤちゃんが優勝したとき、あちこちの国からマリヤちゃんに最高得点の12点が贈られましたが、トルコからは0点。このときはトルコの歌手も健闘して4位にランクインしたんだけど、セルビアからは0点。

トルコがセルビアを支配したのは500年前の話なのに、いまだににらみ合ってることがよくわかります。

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いっぽう、「俺とお前の仲じゃん。恥かかないように、お互い点数入れあおうぜ」という関係の国もあるわけです。

ソ連から独立したベラルーシやラトビアはロシアに高得点を与え、ロシアもそれらの国に高得点を与えるのがほぼお約束。
ギリシャとキプロスも、ぜったいお互いに12点ずつ入れあうのがおきまり。


もちろん、昨日まで同じ国だったとなれば親戚や友だちもいるし愛着もあるって人が多いので、ひいきして応援するのは自然のなりゆきともいえる。
しかし、もともと仕組まれた「組織票」の存在は日を見るより明らかで、ことに中欧諸国が参入するようになってからは「ユーロビジョンは純然たる歌のコンテストではない。あからさまな政治イベントだ」と批判されることが多くなっているのでした。

でもこのあたりの露骨な「なあなあ」「ぎらぎら」感が、「これぞユーロビジョン」な要素なのであります。

ほかにも、
「なにー?! トルコが初出場? ならばわしらギリシャはボイコットじゃ」
とか
ユーロビジョンを生中継していたヨルダンの放送局が、「このままではイスラエルの優勝が決定的じゃ。おもしろくなーい!」と生中継をブチッと中断したとか(す、すごい)、逸話は数知れず。

 

日本人だって純然たる単一民族とはいえないかもしれないが、なんだかんだいって島国だもんね。

日本人が(少なくとも私自身が)把握・認識してなかったようなあちらさんの事情というか、「おしなべた体感温度」みたいなものが、どんな教科書やよりも顕著に露骨に、しかも楽しーく学べてしまうのがユーロビジョンなのであります。

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中欧と西欧とでは、ユーロビジョンに対する熱はかなり温度差があります。

西側(いわゆる西欧)の視聴者は、もはやユーロビジョンを「労働者階級や子どもが見る娯楽番組」という感じで軽視しているのが現状。
出場歌手のほうも「どうせおいらたちは勝てないんだけど、ま、とにかく楽しんじゃおう」と開き直っていることが多いように思います。

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かつてABBAが優勝したころは、ユーロビジョンにはまだ夢があったのです。

これで優勝すれば世界メジャーになれるという可能性があった。
でももはやイギリスの音楽業界が力を失い、洋楽=タワーレコードかi-tune経由という仕組みができあがってしまった現在では、ミュージシャンはアメリカのレーベルからメジャーデビューしないかぎり世界進出はほぼ不可能となってしまった。

ユーロビジョンなんかで優勝するよりも、とっととヨーロッパを離れてアメリカに売り込んだほうがよっぽど成功する可能性が高いわという図式ができあがっちゃった。


90年代にベルリンの壁が崩壊して、ヨーロッパは大きくかわりました。
独裁者が去り、各地で民主化がすすんで。
インターネットが出現し、これまで民族衣装を来て生活していた人々がリーバイスのジーンズに憧れるようになった。

かつては「自分たちの国は新しく生まれ変わる」と人々は希望を胸に抱いた。

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それから十数年たった今。
「才能あるものはアメリカへ」という流出現象が顕著になっているのが現状であります。

けっ、今さらユーロビジョンで勝ったところでどうなるってんだい。

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それでもユーロビジョンは、なくならない。

なぜなら、なんだかんだいって毎年ユーロビジョンを楽しみにしているファンがかなりの数でいるから。

そしておそらく、ユーロビジョンは「we are ヨーロッパ」の象徴だと思うからです。


各地からはりきって応援にかけつけたユーロソング・ファン。どこの国の人かわかりますかしら?

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EU的やユーロ通貨統合の「それぞれの個性を活かしながらみんなで協力し合おう」という動きや、「YES WE CAN!」のアメリカ合衆国とはまた別の、もっとわかりやすい「古くから民族のるつぼ・ヨーロッパ」なりの泥臭い一体感。甲子園的なガチンコ勝負、アイデンティティとアイデンティティのぶつかりあい。

初出場する国の歌手には「これでわれわれもヨーロッパの仲間入りだ!」という初々しさと緊張感がみなぎっているし、ロシア・旧ユーゴスラビア諸国・トルコといった中欧の出場歌手には「国の威信をかけてきた」「絶対に勝つ」という気迫と戦略が満ちている。

西欧がしらけていようと、ポリティカルな色が濃くなろうと、切磋琢磨+時代の波に翻弄されながら、この祭りは存続していくであろうと思います。

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翌年のユーロビジョンは、優勝者の国で開催されることになっております。

だから今年の開催地はセルビアのベオグラードだった。
前年優勝者のマリヤちゃんにとっては誉れ高い晴れ舞台だったわけです。
そんなわけで今年5月、わたくしはセルビアくんだりへとふたたび旅立つことになったのでした。

んもう、マリヤちゃんったら罪作りなんだからもう・・・・。

学生ボランティアのお姉ちゃんたちとウハウハ

POW-WOW project
能書き:
【POW-WOW】は2008年7月10から16日まで吉祥寺のリベストギャラリー創で開催する『クリエーターの手によるTシャツ展』のユニットです。
POW-WOWとは異なる種族間の会合を意味します。
これよりイベントまでの間、参加者がそれぞれの日常、あるいは作品の制作過程などをこのブログで発表していけるものとします。
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